共振器集積導波路グレーティングと応用
1. 共振器集積グレーティングカップラ(CRIGIC)
レーザ光源や受光器を集積していない光回路を使用するためには、外部からレーザ光を導波光(光導波路を伝搬する光)に効率よく結合したり、取り出したりする必要があります。グレーティングカップラ(GC: Grating Coupler)は、導波路面に設けられた周期的屈折率変調(導波路グレーティング)により、導波路面に入出射するレーザ光と導波光を結入する素子(図C-3参照)であり、光回路の概念が提唱された頃からその主要素子として研究が続けられてきました。近年、光配線への期待やシリコンフォトニクス分野の台頭とともに再び注目が集まっています。
GCを通常の誘電体導波路に形成する場合、高効率を得るためにはサブmmの結合長(開口)を必要とします。一方、多くの入出力を高密度で実現するためには、微小な入出力開口が求められます。そこで、図C-4に示すように、2つの導波型分布ブラッグ反射(DBR: Distributed Bragg Reflector)で共振器を形成してその中にGCを挿入し、導波光の往復により実効的結合長を長くする構成(CRIGIC: Cavity-Resonator-Integrated Grating Input/output Coupler)を検討しています。共振器構造とすることにより、開口を小さくできるばかりでなく、通常のGCでは難しい高効率垂直入出力結合が可能となります。Si基板石英系ガラス導波路に集積した5μm開口CRIGICからの出力結合効率の理論予測結果例を図C-5に示します。金属などの反射性基板を用いれば、ほぼ100%の結合効率が期待できます。試料を作製、特性評価し、光配線等の集積フォトニックデバイスへの応用を検討しています。

図C-3 グレーティングカップラの断面構造概念図と出力結合の様子。入射してきた導波光は、伝搬方向に沿って設けられた周期的屈折率変調(ここでは表面凹凸で形成)により、(それぞれの屈折境界で発生する2次波の位相が揃う)ある特定の方向に回折放射される。伝搬に伴い導波光は指数間数的に減衰し、それに伴い、回折放射光の光強度分布も指数間数的分布を有する。

図C-4 共振器集積グレーティングカップラの概念図と出力結合の様子。入射導波光は、前段DBRを通過後、後段DBRで反射され、両DBRで形成された共振器に閉じ込められ、同時にその中に設けられたGCにより回折出射する。位相調整ギャップとDBRの結合長を最適化すれば、入射導波光は反射も透過も生じず全て回折放射される。

図C-5 Si基板石英系ガラス導波路を用いた5μm開口CRIGICの出力結合効率の波長依存性の計算例。導波光は、反射はほぼ0%に抑えられ、(後段DBRの結合長が短いため)わずかに透過伝搬するものの、ほとんどが回折放射される。80%近くの出力結合効率が期待できる。なお、残りの20%は基板側への放射結合損失を示している。
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